Y×S 2021 vol.5 在来知に裏打ちされた 生存システム / 進化論から考える 「縄文農耕」

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日時 2021年9月18日(土) 10:00~(開場09:30)
場所 八ヶ岳自然文化園 大研修室
受講料 500円
講師 :梅崎(たつさき) 昌裕 東京大学大学院教授
: 米田 穣 東京大学総合研究博物館教授
お申し込みはこちらから
https://forms.gle/9ckNm8Sk878p482PA
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地域の文化と歴史を深堀りする教養イベント「諏訪学」
在来知に裏打ちされた生存システム:パプアニューギニアの事例
講師 梅崎 昌裕 東京大学大学院教授
パプアニューギニアでは、在来知に裏打ちされたさまざまな生業が営まれてきました。たとえば、根茎類・バナナの焼畑農耕、サゴヤシの澱粉採集、可食植物の採集、ノブタや有袋類を対象とした狩猟、集約的なサツマイモ耕作、漁労などです。800 以上ある言語集団のそれぞれが、複数の生業を組み合わせて固有な生存システムを構築しています。私の発表では、東セピック州コンビオ(焼畑、狩猟、採集)およびヘラ州フリ(サツマイモ耕作)を対象に、生存システムの具体例を紹介したいと思います。コンビオの生存システムは、焼畑と狩猟採集の融合性を特徴としています。焼畑の跡地で生育するノブタを狩猟の対象とし、そこに生える可食植物を採集します。一方、フリの生存システムはサツマイモ耕作に特化したものです。畑の周辺に存在する木本はすべてが人為的に選択されたもので、サツマイモの栽培に寄与することが期待されています。このような生業のありかたは縄文時代にも存在したのでしょうか?
進化論から考える「縄文農耕」
講師 米田 穣 東京大学総合研究博物館教授
自ら食料生産する農耕の開始は人類史の大きな画期と考えられており、藤森栄一の「縄文農耕論」で知られるように、縄文時代に食料生産が開始されていた可能性は長年にわたり大きな議論となっています。近年では土器圧痕の観察がひろまり、大型のマメ類や堅果類の存在から「農耕」の可能性が主張されています。一方で農業起源地における多角的な発掘調査の蓄積と精緻な年代測定に基づき、「農耕」を画期とする二元論的な歴史観に対する批判も高まっています。本講座では、進化生態学で用いられる共進化という概念から栽培化・家畜化をとらえなおし、漸進的な農業社会の成立を許容するモデルを紹介します。とくに長野県で発見された、雑穀を利用した縄文時代人を事例として、縄文時代と弥生時代の生業の位置づけを考えます。